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「妊活」とは?活動の流れと年齢別の妊活期間・妊活中にできること

検査や生活習慣の改善によって妊娠を目指す方法は「妊活」と呼ばれ、近年では広く認知されるようになりました。

子どもを授かるためには両親が健康であることに加えて、妊活の大まかな流れや費用など、いくつか押さえておきたいポイントがあります。

この記事では、妊活の概要や必要とされている理由、必要な期間と実際の流れを紹介します。
これから妊活を始める予定の方は、ぜひチェックしてください。

妊活とは?

妊活は「妊娠活動」の略語で、妊娠のために行う活動全般を意味する言葉です。

妊娠するのは女性のみですが、子どもを授かるためには男性の関わりも重要になるため、妊活はカップルが二人一組で取り組むものとして広く認知されています。

妊活で押さえておきたいポイントは、次の3つです。

【妊活に必要な3つのポイント】

  • 生活習慣の改善
  • 検査・スクリーニング
  • 結果を受けて行動する

妊娠を考えている方は生活習慣の改善や病院での検査を受け、それぞれの方法で活動を進めていきます。

不妊治療を受ける場合は、専門の病院を受診しながら妊娠を目指します。

関連記事:妊活の始め方とは?一般的な流れと妊娠しやすい体に導く方法

妊活が必要な理由

子どもは授かりものという言葉もありますが、自然に生活しているだけでは妊娠が難しいケースも少なくありません。

生活習慣が原因となっているケースは自分では気づきにくいものですし、不妊症のように生活習慣を改善しても妊娠しにくいケースもあります。

そうした状況をご自身で把握し、正しく対処して妊娠を目指していく活動が妊活の特徴です。

妊活にかかる期間

自然妊娠を成し遂げる力は「妊孕力(にんようりょく)」と呼ばれています。

年齢とともに妊孕力は低下していき、40代に入ると急速にその機能は衰えます。

妊活にかかる期間も、妊孕力が低下するほど長くなります。
次の図は、自然妊娠までにかかる期間を年代ごとに示したものです。(※)

【年齢別の妊娠までに要した時間】

年齢

女性

男性

〜24

~5ヶ月

~10ヶ月

25〜

~10ヶ月

~10ヶ月

30〜

~10ヶ月

~10ヶ月

35〜

~15ヶ月

~10ヶ月

40〜

15ヶ月~

~10ヶ月

※参考元:「生殖医療のすべて」

出産を行う女性のほうが、男性よりも年齢が若くなるほど妊孕性が高いことがわかります。

20代

20代は、女性としての体ができあがり体力も十分であることから、もっとも妊孕性が高い年代です。

自然妊娠に適した年代でもあり、医療ケアを要さずに自然な妊娠が目指せる可能性が高くなっています。

上記の図を見ると、24歳以下と25〜29歳で妊娠までに要した期間は数ヶ月程度の差しかありません。

男性側の妊孕性も24歳以下と25〜29歳では大きな開きはなく、男女ともに自然妊娠を目指しやすい年代です。

30代

30代は、20代よりもやや妊孕性が下がっています。

特に、30〜34歳と35〜39歳では、妊娠までにかかった期間で差がつきはじめており、20代とは異なる特徴といえるでしょう。

30〜34歳では10ヶ月以下だったものが、35歳を過ぎると15ヶ月に届くほど期間を要しています。

男性側の妊孕性にもやや差がみられ、30〜34歳より35〜39歳のほうが自然妊娠に期間を要しています。

男女ともに35歳を過ぎると妊活のハードルが高くなっている状況です。

40代

40代は、女性で15ヶ月以上、男性も5ヶ月以上の妊活期間を必要としています。

男女ともに、妊活のハードルが高くなっている状態です。

厚生労働省のデータによると、母親の年齢における自然流産率は40歳以上で41.3%と、全体でもっとも高い割合を示しています。(※)

他の年代グループとの有意差はありますが、40代を過ぎると周産期死亡率も徐々に上がっているため、妊孕性の高い年齢を超えるとさまざまなリスクが現れてくるのです。

※参考元:厚生労働省「不妊に悩む方への特定治療支援事業等のあり方に関する検討会 報告書」

妊活は早い方が良い

妊活にかかる期間は、20代から徐々に長くなっており、年齢とともに妊娠率が下がっています。
年齢とともに流産率が上がることからも、妊活は早い段階でスタートするほうが時間をかけずに妊娠できる可能性があります。(※)

※参考元:公益社団法人 日本産科婦人科学会「2021年体外受精・胚移植等の臨床実施成績」

妊活の流れ

妊活に明確な決まりや制限はありませんが、はじめに家族計画を立ててから体調をみて、「タイミング法」と呼ばれる方法で妊娠を目指すのが一般的な流れです。

ここからは詳しく妊活の方法をチェックしていきましょう。

夫婦で家族計画を立てる

夫婦で家族計画について話し合い、家庭や仕事の状況から子どもの人数や出産の時期(目安)を計画します。

家族計画といっても子どものことだけではなく、夫婦の健康や年齢に関すること、経済状況や生活環境・住環境といった幅広い内容を話し合っておくことが大切です。

出産を希望する時期や場所、里帰りの有無、育児休暇や育児を担当する配分といった細かい部分も、計画段階でよく話し合っておきましょう。

基礎体温を記録する

基礎体温とは、飲食や運動といった他の行動の影響を受けていないときの体温です。

基礎体温を知ることで、排卵が近づいているかどうかをチェックできるため、妊活に活用できます。

基礎体温の記録にあたり、以下のチェックポイントを押さえておきましょう。

【基礎体温のチェックポイント】

  • 同じ時刻、同じ条件で測る
  • 起床してすぐに測る
  • 安静にしたまま測る
  • 舌の下で検温する
  • 婦人体温計を使用する
  • 測定結果を記録する

基礎体温は、体が活発に活動していない状態で測ったときの体温です。

測定方法として、毎朝起きてからすぐに安静にしたまま体温を舌下で測定します。

体温計は、スピード計測が可能な婦人体温計があると便利です。

月経周期や体のリズムを把握するために、1ヶ月以上継続して記録するようにしましょう。

避妊をやめて排卵日に合わせて夫婦生活を行う

性交渉の目安として、排卵日の2日前がもっとも妊娠しやすいといわれています。

2日前付近で夫婦生活に入る方法は「タイミング法」と呼ばれ、カップルや夫婦が自身でスケジュールを組んで行うものと、医療機関で検査を受けてから実施する方法に分けられます。

ただし、不妊治療は正しい知識のもとに行わなくてはなりません。

タイミング法以外の治療方法も含めて、事前に病院を受診し、専門医からアドバイスを受けることも可能です。

関連記事:卵子の寿命について知っておきたいポイントと妊活のための基礎知識

なかなか妊娠しない場合は

妊娠ができない場合は、男女ごとに原因を見極めながらタイミング法を続けるか、他の治療法を検討します。

男女別に考えられる原因と、病院やクリニックで行われる不妊治療をみていきましょう。

男女別の原因について

男性側の妊孕性に問題がある場合は、以下の原因が考えられます。

【男性側の原因】

  • 精子に関するトラブル
  • ホルモンのトラブル
  • 生活習慣の問題
  • 性感染症
  • 性機能障害

男性の不妊には、精子やホルモンに問題がある場合と、肥満・喫煙といった生活習慣による問題、性感染症や性行為が行えない性機能障害などが挙げられます。

女性側に問題があるときに考えられる原因は次のとおりです。

【女性側の原因】

  • 女性器に関するトラブル
  • 免疫機能によるもの
  • 体調や体に関する原因
  • ホルモンのトラブル
  • 生活習慣の問題

女性の不妊症では、子宮や卵巣などに先天的・後天的なトラブルや性感染症が起きている場合と、肥満や痩せなどの体に関する原因、喫煙やその他の生活習慣によるものが原因として挙げられます。

複数の原因が重なっているケースもありますので、不妊の原因を正しく見極めて対応しましょう。

病院へ受診する目安

受診の目安は特に決まっていませんが、妊活を考えているときに一度受診し、体調やその他の不調を相談したり、検査を受けて妊孕性をチェックしたりすると良いでしょう。

本格的な不妊治療では、月経周期に合わせて1ヶ月に1〜数回ほど通院します。

不調の原因によっては内科や精神科といったかかりつけのクリニックや病院も併用して体調を整えます。

病院・クリニックで行う不妊治療について

病院やクリニックで行う不妊治療は、体外受精・人工授精・タイミング法の3種類です。

それぞれの方法について確認していきましょう。

体外受精

体外受精は、卵子を女性の体内で育ててから採取し、精子と受精させて再度子宮内に戻す方法です。

公益社団法人 日本産科婦人科学会が公表した2021年のデータによれば、体外受精を行った場合の妊娠率は、29歳で50%に近い数値となり、その数値をピークにして少しずつ減少しています。(※)

排卵誘発剤の使用中や採卵時にかかる体への負担がデメリットではありますが、40歳で30%の結果が得られていることから、信頼性の高い方法といえるでしょう。

※参考元:公益社団法人 日本産科婦人科学会「2021年体外受精・胚移植等の臨床実施成績」

人工授精

人工授精は、女性の排卵時期に合わせてパートナーの男性の精子を注入する方法です。

排卵誘発剤の使用や注入時の腹痛といったデメリットはありますが、体外受精よりも体への負担が抑えられます。

タイミング法

タイミング法は、排卵日を確認して妊娠しやすいタイミングで性交渉を行う方法です。

人工授精や体外受精よりも体への負担が少なく、ホルモン値などのデータを参考にできるため、体調のチェックもしながら自然妊娠を目指せます。

不妊治療の費用

不妊治療では、検査から治療まで個別に費用がかかります。

費用の目安は以下のとおりです。

【不妊治療にかかる費用】

項目

健康保険

費用/回

各種検査

一部適用

〜2万円

タイミング法

適用

〜2万円

排卵誘発法

適用

〜2万円

人工授精

適用(一部制限あり)

〜2万円

ART

適用(一部制限あり)

〜70万円

※2024年6月時点
※上記の費用は目安です。

「ART」は、体外受精精・顕微授精・胚移植などの先進的な治療方法の総称です。

人工授精・ARTのどちらも保険適用の対象となっていますが、一部に制限があるため、妊活中は計画的に治療を検討しましょう。

不妊治療の保険適用について

2022年より、人工授精やARTも保険適用の対象となりました。

人工授精については、周期的に使用する排卵誘発剤などの薬剤、各種検査に回数制限が設けられています。

また、ARTは年齢制限とともに胚移植回数が制限されています。

妊活中にできること

妊活中にできることとして、生活リズムの改善やバランスのとれた食事を意識しましょう。

ここからは、妊活中に意識したいポイントを紹介します。

生活リズムを整える

起床から就寝まで、生活はできるかぎり規則正しく行うことでコンディションを整えられます。

自律神経やホルモンの分泌を正すためにも睡眠は特に重要です。

バランスの良い食事をとる

妊活中は、食生活から健康に配慮し、妊娠しやすいように体調を整えましょう。

積極的に摂りたい栄養素・食材は次のとおりです。

【妊活で摂りたい栄養素と食材】

栄養素

特徴

食材

タンパク質

妊活に必要な体を作る必須栄養素

卵・納豆

ビタミンE

高い抗酸化作用をもち病気予防や卵子・精子の老化を防ぐ

アーモンド・カボチャ・ウナギ

鉄分

良質な血液を作り月経中のコンディションを整える

カツオ・豆乳・納豆

亜鉛

免疫細胞を活性化し卵子や精子の形成を助ける

牡蠣・アジ・切り干し大根

葉酸

ビタミンB群に含まれ、赤血球や細胞を助ける働きがある

枝豆・ライチ・ホタテ

オメガ3脂肪酸

妊娠をサポートし精子の質を改善する

鮭・サバ・エゴマ油・クルミ

妊活では、妊娠にふさわしい体づくりと卵子・精子の質を高める食習慣が重要になります。

栄養バランスの良いメニューを意識しながら、偏った食事や糖・塩分・脂質の摂りすぎにも注意してください。

適度に運動する

運動は血行促進・代謝改善・ストレス発散といったさまざまな効果が期待できます。

無理のない範囲で適度に運動を続ければ、不妊の原因になりやすい肥満や痩せすぎも予防しやすく、健康にも良い影響が期待できるでしょう。

体を冷やさないようにする

体を温める工夫や行動は「温活」と呼ばれていますが、体温を下げすぎないことで排卵のトラブルや生理不順を予防できます。

特に妊活では下半身の冷えに注意が必要です。

ストレスをためない

ストレスは自律神経の乱れやホルモンの不調を招きやすく、妊娠にマイナスの影響を与えます。

運動や趣味の活動、睡眠や休息でストレスを溜めすぎない工夫も妊活に役立ちます。

禁煙する

喫煙は卵子の質を低下させ、排卵トラブルや血流低下による体調不良を引き起こすことがあります。

普段から喫煙本数を減らすなどして対応することが大切です。

妊活の方法と期間・費用をチェック

今回は、妊活の方法や流れ、注意したいポイントについて紹介しました。

妊活では体調や生活習慣に配慮しながら、カップルがお互いをいたわって取り組んでいく必要があります。

妊活のタイミングや具体的な活動方法は、男性側もよく理解して取り組むようにしましょう。

医療機関では男女それぞれの体質や年齢、生活状況にあわせて医療ケアやアドバイスが受けられます。

自然のままの妊娠に不安がある方は、ぜひ妊活を考えてみてはいかがでしょうか。

 

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